2008-03-21

センチメンタルフライト

飛行機に乗ると、時たま物寂しい気持ちになるが、それがまた心地よい。何でなんだろうと思うと、思い当たる節がある。

『僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。』(村上春樹:「ノルウェイの森」)

これは書き出しの部分だけど、このあと主人公は到着地に着いても席を立とうとせず、うっすら涙を浮かべているために、スチュワーデスに声を掛けられると、「いや、ただちょっとセンチメンタルになっただけだ」みたいなことを言う。それはBGMにビートルズの「ノルウェイの森」がかかっていたから、という設定。中学生のときに授業で強制的に読まされる以外で初めて自主的に読んだ本が「ノルウェイの森」だったんだけど、何故かこの文が心に残り、「センチメンタルに飛行機の旅をすることがかっこいい」と思うようになった。。。なんて単純でぶっきらぼうなんだろう、思春期って(笑。

まぁだからと言ってしょっちゅうセンチになっているわけではないのでけれど、オトナになってから機内で泣いたことが2回ある。

一回目は出張で北京から帰るときに機内で見た「明日の記憶」という映画。渡辺謙が広告代理店の営業部長で、若年性アルツハイマーにかかるという実話に基づいたお話。一緒に出張したうちの会社の営業部長が、往路で見たらしく、「これは本当にヤバいよ、もう俺周りなんかお構いなしに泣きじゃくったよ」と力説していたので、復路でみた。テーマ自体が結構グっとくるには十分なのだけれど、同じ業界の話だからグっと来る度が3倍増し位になって、僕も「お飲み物はいかがですか」なんてスチュワーデスさんに言われて、真っ赤に腫らした眼を手で覆いながら、「ウーロン茶、ぐ、ぐだざい」なんて言ったのを覚えている。

二回目は去年免許の書き換えでアメリカに行く機内で見たこのPV:



リバイバルしているベストヒットUSAの中で最後に出てきた。最近は上海のコンサートで「チベットに自由を!」なんて叫んでしまったが故に物議を醸し出した彼女ですが、本当にその時代その時代で先進的な試みをする。この曲もそんなスタイルでとられていて、見てるのが楽しい。でもやっぱり歌詞がよくて、曲のスピード感にのって迫ってくるせつなさがいいんだよね。で、一人旅だったもので、奥さんのことが急に恋しくなったりして思わず涙してしまった訳です。

そんな僕は、まだ三十七歳にはなっていない。(春樹風)

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